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メロディオンのえらいひと
ケイジャン&ザディコ
Artists / Cajun & Zydeco

世界でもっともパワフルな蛇腹音楽ケイジャン&ザディコ。特に4枚リードのケイジャンアコーディオンを使っての演奏は実はかなり特殊です。

  • ケイジャン/ザディコ

    ケイジャンとはフランス系カナダ移民の”アケイディアン”がなまった呼び名。カナダのケベックに住んでいたフランス系の人たちがイギリスとの戦争(18世紀)を逃れフランス領のルイジアナに移住してきたという歴史があります。日本で一番知られているケイジャン文化は料理のジャンバラヤやガンボですね。 (詳細を調べたい人はこちらをクリック)

    ケイジャンミュージックは非常に表面的に言うとカントリーにアコーディオンとフランス語をのせたような音楽。そしてザディコはR&Bにアコーディオンをのせたような音楽です。しかし、そういうスタイルを取るまでにはいろいろ変遷があったようで、もともとケイジャンの人々が余暇やダンスの時に演奏していた音楽はフランスからカナダそしてルイジアナと長い旅でずっとたずさえてきたフランスの古謡であったと思われます。元々フィドル(バイオリン)などで演奏されていたものが今世紀になってアコーディオンが導入されました。ケイジャンで最初に使用されたアコーディオンはドイツ人によってもたらされた4枚リードの原型に近いアコーディオン。今でもこの形のアコーディオンはジャーマンスタイルと呼ばれますが、一般的にはケイジャンアコーディオンとしての方が通りがいいようです。ポピュラー音楽としては1930年前後にAmedee Ardoin、Joe Falcon等が録音をはじめています。その後、D.L.MenardやAldus Rogerなどによってポップ化(つまり当時はカントリー)されてより人々の間に浸透しました。最近はBeausoleilやSteve Rileyなどによってポップ化(つまり現在はロック)されています。(イラストはケイジャン・トライアングル)

    ルイジアナのケイジャン(クレオール)文化圏では当然黒人も暮らしていた訳で彼らも貧しいながらケイジャン音楽に影響を受けた独自の音楽を築いていきました。楽器もなかなか買えなかった彼らも中古のアコーディオン等を手にとり、洗濯板をこすってパーカッションとしていたそうです。そういった”ブラック・ケイジャン”的な音楽にクリフトン・シェニエはピアノアコーディオンを導入しモダンでブルージイにしたスタイル、ザディコを確立しました。ザディコという言葉は彼の曲"Les Haricots(Zydeco) Est Pas Sales"から来ています。


  • オクターブ、コード/5度ずらし

      ケイジャン・アコはかなり特殊な奏法です。オクターブ奏法、装飾音、コード奏法を多様します。オクターブ奏法というのはドとオクターブ上のドを同時または交互に鳴らす独特な奏法で、例えばドドソソ(四分音譜)という音があるとするとドドドドソソソソ(小文字は1オクターブ上でひく)と言うふうに音譜を細分化したり、オクターブの音を同時に弾きます。元々踊る事と音量を出すために考え出された奏法で、やってみるとかなりやかましいです。

    楽器は大体の場合ケイジャン・アコーディオン(4枚リード、1ロー、10ボタン)を使用し、キーは多くはCかD、Bフラットの物で演奏されているようです。ケイジャンでは5度ずらし、つまりCのキーでGの曲をやる事が多いので、1台で二つのキーがカバーできるわけです。ザディコのプレイヤーはピアノキーのアコを使用している人が多いですが演法はケイジャンから派生、発展したものです。

  • 自給自足??家内製手工業??

    ケイジャン・アコーディオンは殆どの場合、ルイジアナ製です。マーク・サボワのようにプレイヤーでありビルダーである場合も多い。自分たちの楽器は自分たちで作ろうというのはアコーディオンの世界では意外と珍しいことではないでしょうか。これには一説あって、以前はケイジャン音楽でもドイツ製のアコが使われていたが、第二次世界大戦中、楽器や部品の輸入が困難になり、仕方なく自分たちの楽器をつくることになったとか。

    *ニューオーリンズジャズ&ヘリテイジでの蛇腹弾きの写真が見たい人はBLUES GINZAへ行こう。

    なんだか若い人、最近の人中心になってしまったのですが、とりあえず聞いてみて下さい。敢えてカタカナ表記をしたのは英字で読むより頭に入りやすいと思ったからです。

    発音はケイジャンフレンチ、英語などバラバラなのはご容赦ください。例えばマーク・サボアはフランス語読みですが、サボイと英語読み読みする場合もあります。彼らはアメリカ人であり、同時にフランス語も使用していることから、どちらの読み方でも通っていると筆者は認識しています。

    オムニバス

    ""CAJUN DANCE HALL SPECIAL(ROUNDER CD 11570)""
    BRUCE DAIGREPONT,JO-EL SONNIER,STEVE RILEY,JIMMY
    NEWMAN,BEAUSOLEIL ETC

    当然ながらケイジャンの美味しい所だけいっぱい聞ける。

    エディ・ルジョーン Eddie LeJeune

    ""EDDIE LEJEUNE/CAJUN SOUL (ROUNDER CD 6013)""
     ケイジャン・アコーディオンの伝説の人イリ・ルジョーンの息子で今のケイジャン界の重鎮。彼のアルバムは教科書みたいなもんです。(筆者は97年のケンブリッジフォークフェスで見ましたが、凄いグルーヴ感でした。)

    ザカリー・リチャード Zachary Richard

    ""ザカリー・リチャード/ ザックス・ボントン (A29C-102)""
    ACCADIAN C、D
    (写真右/撮影は池田恵美子さん)比較的新しいSNAKE BITE LOVEというアルバムもいいが古いこっちのほうがアコーディオンを沢山弾いている。彼はケイジャンのシンガーソングライターでありギターやキーボード、ブルースハープも吹き、歌も巧い。アコーディオンは名手という程ではないがセンスもいい。ステージにはCとD2台のアコーディオンを置いていた。

    スティーブ・ライリー Steve Riley

    写真左
    ""STEVE RILEY & THE MOMOU PLAYBOYS/TRACE OF TIME (ROUNDER CD 6053)""
    ACCADIAN Bリ、C HOHNER ERICA C/F
    若手ではNo,1の名手。Marc Savoyを従兄弟に持つサラブレッド。音色は明解にして粒揃い。Mamou Playboysのフィドル弾き=David Greelyは彼のブレインだろうか?彼らはこのアルバムでスピード感のある全く新しいケイジャンサウンドを築き上げたのではないだろうか?


    ウェイン・トゥープス Wayne TOUPS

      ""WAYNE TOUPS & ZYDECAJUN/BLAST FROM THE BAYOU (836 518-2)""
    ザカリーと方向性が似ているアコーディオン弾きだけど、ザカリーがSSWなら彼はロックンローラーか。

    ブルース・デクレポン Bruce Diagrepont

    ""BRUCE DIAGREPONT/COEUR DES CAJUNS (ROUNDER CD 6026)""

     アコ弾きだがソングライターとしても高く評価されている。彼はケイジャン界のポップシンガーか。彼の書いた曲は一度聞くと忘れない魅力があるように思う。


    ボーソレイユ Beausoleil

    ""BEAUSOLEIL/CAJUN CONJA (R2 70525)*Jimmy Braux""

     ボーソレイユは何人かアコーディオン弾きが出入りしているが、大体はこの人が参加している。ボーソレイユはマイケル・ドューセットを中心とするフィドル主導型のバンドだが、ツボを心得たアコのバッキングがとても参考になる。ジミーはソロアルバムも出している。ボーソレイユのもう1人の蛇腹弾きはErrol Verret

    マーク・サボワ Marc Savoy

    ""SAVOY-DOUCET CAJUN BAND /HOME MUSIC WITH SPRITS (CD389 ARHPOOLEE)*MARC SAVOY""
    ACCADIAN ビルダー
     ケイジャンアコ弾きの多くがこの人の作ったアコを弾いている訳だけど、プレイヤーとしても一流でボーソレイユのマイケル・デューセとサボワ夫人のアンと3人で作ったSAVOY DOUCET BANDでツアーも行っている。教則ビデオも出している。

    クリフトン・シェニエ Clifton Chenier

    ""クリフトン・シェニエ/ルイジアナ・ブルース&ザディコ (PCD-2502)Pヴァイン""
    なんと言ってもシェニエはザディコの王様。使用しているアコは鍵盤なのだけどここで取り上げるのは奏法に注目して。限りなくケイジャンの奏法に近いと思う。

    ブーズー・チャヴィス Boozoo Chavis

    ""BOOZOO CHAVIS & MAGIC SOUNDS/ZYDECO LIVE (ROUNDER CD 2069)""
     バイユーのカエルみたいな緑色のケイジャンアコを弾くおじいさん。ザディコというよりはブラックケイジャンという系譜にはいる人とか。この系統のザディコはノリが独特なものがある。アコーディオンの単純なフレーズの繰返し、ドカドカ重たいドラムス、都会的でどっかひなびている。

    ボー・ジョック Beau Jocque

      ""BEAU JOCQUE AND THE ZYDECO HI-ROLLERS/BEAU JOCQUE BOOGIE(ROUNDER CD2120 )""
    4ストップのアコと3ローのものを使用しているようだ。ブーズーのサウンドをよりハードでファンキーにしたような重たい音で、アコーディオン音楽の中では世界で一番インパクトがあるのではないか。フレーズは単調な繰返しが多いのだがこれがやはりクセになる。何とも不思議な魅力のある音楽だ。(亡くなったなんてうそうそっ!!(;_;))

    *上の写真は97年のニューオリンズヘリテイジでのブーズー(小さい方)とボー(大きい方)の夢の共演。撮影はBLUES GINZAの陶守さんです。感謝。

    ジノ・デラフォース Geno Delafoce

    ""Geno Delaforce/French Rockin' Boogie""(ROUNDER CD2131)
    実はこの人についてはなにも知らないのだけど、ケイジャン(フレンチ)アコーディオンと3ローとピアノアコーディオンをプレイするのだそうで、それだけでもびっくり。からっと明るい持ち味が魅力か。

    クィーン・アイダ Queen Ida

    ""QUEEN IDA & HER ZYDECO BAND/CAUGHT IN THE ACT (GNPD 2181)""
    HOHNER CORONA
     挙げた中では唯一の女性プレイヤー。結婚し子供を育ててからプロになった異色の人。実はCORONAIIを持っていたのでずっとTEX-MEXの人と思い込んでいた。奏法はケイジャンで楽器はTEX-MEX、やる音楽はザディコ。彼女のケイジャン料理の本も有名とか。


    ●ケイジャン、テックスメックスの記述についてはサン・アントニオ在住の谷口敦子さんに多くの訂正、ご指摘、情報をいただきました。どうもありがとうございました。
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