Middlewich 3

Sunday 16th June
Middlewichの3日目。

Middlewichの町

その朝も会場までは車で出かける。メイン会場の駐車場はとめられなかったので、近くの図書館の駐車場にとめた。ここは前日のスーパーの駐車場よりもいくらか近い。
日曜の朝のせいか、メイン会場は人がまだあまりいない。とりあえず入り口近くのチケットオフィスに立ち寄ることにした。日本から何度かメールをやりとりしたフェスの実行委員長のStephen Dentさんに挨拶できるのでは、と思ったのだ。が、そのオフィスのテントに近寄るやいなや、向こうから笑顔でやってきた人がいた。その人がStephenだった。Stephenは「実は君たちの事、新聞に載ったんだよ」と言った。推測するに「日本からはるばるある家族がミドルウィッチの町のフェスティバルを見にやってきた」というような記事だったのだろう。実は前の日、メインテントに入ったら、ある年輩の女性が我々家族に近寄ってきて「新聞読みましたよ。ミドルウィッチによくいらっしゃいましたね」と握手してくれたのだ。なんだか嬉しくて愛想よく「はいはい」と笑顔で答えた我々だったが「それよか、新聞って何だ?」と不思議に思っていたのだ。Stephenは「できたらあとで記事を見せるよ」と言ってくれた。結局その時は見せて貰う時間がなく、帰国後、その記事を送ってくれるとのメールがきたが、、、。

朝1のメインテントでは日曜礼拝が行われていた。さすがにフェスなので、賛美歌のライブといった感じだ。「礼拝をやっているのに、朝っぱからビールを飲んで良いもんかなあ?」と夫は回りを不安そうに見回していたが「あ、もう飲んでる人いるからいいや」と買ってきた缶ビールを早速飲みはじめた。イギリスではビールは単なる酒ではない。

会場を見回すと、イングランドのサッカーのユニフォームや応援シャツを着た人や子供が沢山歩いている。目の前では梯子を使った曲芸なども始まった。それとモリスメンらしき人々。なんと!黒塗りのカラスみたいなモリスの人たちもいるではないか。まさに2年前にELYで見たチームだ。一人がこちらに来たので夫がチームの名前を聞いてみた。向こうはこちらがモリスが好きで来ているのがわからないので「モリスを知ってるか?」と聞いてきたので「チームの名前(教えて)」ともう一度言ったら"Witchmen !"と黒カラス・マンは答えた。「これから11時頃、Kingslockの前で踊るよ」と教えてくれたので、歩いてそちらに向かう事にした。


右奧の白い建物がKIngslockという名前のパブ
Kingslockはその前前日に土砂降りの中、フェスの会場を聞きに入ったパブだ。フェスのメイン会場とはちょっと離れた場所にある。運河沿いにブラブラ歩いて行くと色とりどりの綺麗なボートがいくつも見えてきた。このフェスはボート&フォークフェスティバルなので、ボートの行き来も活気がある。レースなどの催しも予定されていた。私は運河の風景とボートの美しさに釘付けになった。以前、Bradford on Avonでも運河とNarrow Boatは目にした事があったが、今回パブの前が運河でそこでモリスを見ながらボートが行き来するのも同時に見ることができるのだ。
パブの前につくとすでにいくつかのモリスチームがスタンバイをはじめていたが、そこは丁度運河の水門があり、行き来するボートが水位の違う運河と運河を行き来するために、水位調節を行う場所なのだ。そこで水門を開けたり閉めたり、水位が上がったり下がったりするのを見るのはとても面白い光景だ。

運河の水門を開ける。水門の向こう側と手前の水位が違う

図解

いよいよモリスダンスが始まる

女性のコッツウォルズスタイルのモリスチームが終わると例のWitchmenの踊りが始まった。相変わらずの大迫力。いろいろなチームを見てきたが、このチームの踊りは振り付けも音楽も衣装も踊り手の表現力も群を抜いているのではないかと思った。このホームページの前回の旅行記ではこのチームのようなスタイルをコッツウォルズスタイル等と私は超デタラメを書いてしまっていたが、実はこういう体中に獣の毛のような布をつけて顔を黒塗りにする悪魔っぽいモリスのスタイルはボーダースタイルという。ウエルズとイングランドの境の地域が発祥で、現在では地域を問わずにいろんなチームが存在する。(詳しくはWitchmenのサイトもあるので見てみて下さい。)

この日はフェスの最終日で昼間からメイン会場でのライブも予定されていたので、踊りが一段落したところで、メイン会場に戻った。会場前にテント前に並ぶのもこの日で3回め。会場を横につっきる通路のすぐ後ろの席を取る。最初の演奏はKathryn RobertsとSean Lakeman。Kathryn RobertsはPooziesにも在籍していて、この日のトリであるKate Rusbyとはお仲間。Kathrynの歌はとても気持ちがよく、素晴らしかったが、娘が段々落ちつきがなくなってきた。昨日と違ってまだ昼間。すぐに飽きてしまったようで元気をもてあましている。トイレに出ようというので、テントの外に出たら、ふと、Andy Cuttingがテントのバックステージ側から出てきた。声をかけたらすぐに向こうも気が付いてくれた。Andy とは去年の東京でのライブ、そして(大島教授についてった)インタビュー以来だった。去年は東京ではハードスケジュールでライブ会場とホテル以外は何にも見られなかった事、たった3日の滞在だったので時差ボケが治らなかった事などを話してくれた。こちらの近況としては娘の耳の障害がわかった事などを話した。なんとなく、聞いて貰いたかったのだ。でもAndy は「彼女はいつでもどどこでもHappyみたいだね」と言ってくれた。「今度の旅行ではこのあとどこに行くの?」と聞かれたので、「ウエルズとー、Dipperさんちと、うーんと」とたどたどしく話すと「ウエルズはいつも雨みたいだよ、そういう風に聞くけどね」(Fernhillのメンバーにか?)「そうそう、DipperさんちのJohn(息子さん)のフィドルって聞いたことある?」「あるある(2000年の旅行記)」「すっばらしいよね、最近JohnはChris(Wood)とコンサティーナのRobert Harbornと一緒にやってるんだよ」「えーほんと!」
そういえば、2年前にコンサティーナビルダーのDipperさんちに行った時はJohnの演奏をずっと聞かせてもらったのだ。それはそれはいい気持ちで聞かせて貰い、セッションもさせてもらって、帰るのも惜しいくらいだったのだが、今年はこの2年の間にJohnが素晴らしく出世したという話をいろいろな所で聞くようになる。それも、次の週のフェスで見る予定の若手のグループDr.FaustusのメンバーであるRobert Harbornともつながってたとは。。あの時取らせて貰ったビデオは超お宝になるかも??
というわけで、娘がお漏らししてしまうといけない(^_^;)ので、「ライブが終わったら新しいアコーディオン見てくれます?」といってアンディと別れた。テントに戻ると曲の切れ間に自分の席に戻り、Kathrynのライブが終わった所で、夫に「さっきアンディと会っちゃった〜」と言ったら「ずるい、ずるい」とうらやましがられた。

2番目のアクトはWood & Cuttingだった。2年前の2 Duos Quartet以来のライブ。最初の曲はあのファーストアルバムからのアンディの自作曲、In the Continental Mood〜Flatworldだった。この曲はCDに穴が空くほど聞いている大好きな曲だがライブでは初めて。わーお、と思ったらまもなくまた娘が「おしっこ〜」。娘のせいで私の人生は台無しだと、この時ほど強く思った事はなかった。夫はビデオ撮っといて上げるから大丈夫と言ってくれたのであきらめたが、この後2度までもWood & Cuttingのライブ中にトイレに行かされたのであった。戻ってみると、Chrisが冗談混じりのMCをやっていた。「どうしたらメロディオンが巧くなるか、コツをお教えしましょう。朝起きてすぐメロディオンを弾きはじめ、お母さんが朝仕事に行って、夕方帰ってきてもまだ弾いてて、」これは、勿論アンディの事だろう。アンディがお腹を抱えて笑う。
この日のW&Cのライブは最新のアルバム(といっても3年くらい前だが)からの曲目が多かったが、あまり目新しい演奏はなく、去年の4月の東京でのアンディのソロ演奏は結構貴重な体験だったなあと思った。

ライブが終わり、休憩になったので、私はトリのライブはあきらめて、夫はテントに残って貰い、しばらく娘を遊ばせる事にした。一通り歩き回ってから、それでもやはりライブが気になってテントに戻る。この日の昼間のトリは美人ボーカリスト、Kate Rusby。彼女の演奏は97年にケンブリッジの大きな大きなフォークフェスで見たことがあったが、その時はフィドルも入った確か3人くらいのバンドだった。Andyがときどきサポートで入る事はFolk Rootsなどの雑誌で知っていたが、この日はなんとKateの歌とギターとAndyのアコだけというシンプルな編成だった。ところがこれが素晴らしかった。彼女の個性的な声とギターと乾いたアコーディオンの音が非常によく合っていたのだ。今度はステージから見て左側の前の方の場所でライブを見た。車椅子の人なども見に来ているいい場所だったが、途中で娘が寝てしまった。

Kate のステージも終わると、お客さんが全て外に出てしまった。次は8時までライブはない。スタッフの片づけや準備が始まり、ステージで楽器をかたづけてたアンディに夫が挨拶にいった。私は寝ている娘を抱いていたので周囲の人が起こさないように気を使ってくれたが、かなりの時間寝たようなので、起こして外に出たら、Andy とChrisが出てきた所だった。アンディには新しいVan der Aaのアコーディオンを見て貰う事にした。「去年、(東京で)あなたにベースのレイアウトを聞いたけど、それと同じようにしたんですよ」と私が言うと、夫が「Andy、新しいCastgnariはどう?」と聞く。「実はまだ、あんまり好きじゃないんだ、でも、このVan der Aaはとってもいいね。見た目もゴージャスだしね。」と褒めてくれた。お世辞かな?でも結構気に入ってる風だった。私は「娘がいるからロクに弾く時間がなくて」というとAndyは「ボクには娘がいないから、いつでも弾いてられる」と答えた。
以下インタビュー形式。

夫「質問があるんだけど、去年、新しいアコーディオンのリードのチューニングをやってるって言ってたけど、自分でやるの?」
Andy「いやいや、ロンドンにクレイジーなスエーデン人がいて、その人がやってる。ボクには難しすぎるよ」
私「アンディ、カレンとのアルバムはどうなったの?」
Andy「実は、それ、明日からミックスダウンなんだ」
クリスにはさっきのアンディからの情報をきく。
夫「クリス、John Dipperにはフィドルを教えてたの?」
Chris「うーん、かつてはね。今は教えて貰ってるよ」
夫「来週はTignmothに行ってDr.Faustusのライブを見るんだけど、アンディはTim Van Eikenのアルバムのプロデュースをしてるよね」
Andy「その通り」
他にもいろいろ話をしたのだが。。。
Andy「それじゃ、ウエルズでは楽しんできてね。」
Chrisも私に握手をしてくれた。Chrisが娘に手を伸ばすと娘は何を思ったか、抱いていたメルちゃん人形の手をさし出した。(写真:クリスの足下にあるのはアンディのCastagnari。右下にはChrisの2本入るフィドルケース。)

この日は明るいうちに宿に戻り、夫はリンデスファーンが気になるといって、また一人で外出していったが、1時間もしないうちに戻ってきた。やっぱり、3人で歩かないとつまらないと言った。





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