Welshpool,Llanfair

Tuesday 18th June
その日は確か、日本がトルコに負けた日だった。ワールドカップのサッカーである。試合は朝7:30分くらいから始まり、途中で朝食に降りた。宿の奥さんが「日本は点取られちゃったわね」と残念そうに声をかけてくれた。奥さんには前日のトラブルの事を話したらびっくりしていた。娘の朝食は相変わらずオレンジジュースとカップラーメン。シリアルも取るが、あまり食べない。
宿には年輩の夫婦があと2組泊まっていた。イギリスのB&Bではどこでもそうだが、朝食で顔を会わせるお客同志はかならず声をかけあって、今日はどこに行くのか?等の会話になる。この年輩のご夫婦は車に自転車を乗せてきていて、その日は揃って自転車で出かけていった。かっこいいなあ、と思う。部屋に戻り、TVをつける。雨の降りしきる日本のサッカー場では日本の敗退が決まった。


この日はウエルズ観光の目玉であるミニSLに乗ることに決めていた。娘もきっと喜ぶだろう。宿の奥さんに駅の場所を聞いて車で出かけた。Welshpoolの市街地を抜けてミニ機関車の駅についた。宿からは15分ほど。汽車の出発は11時。まだ30分ほどある。窓口で往復の切符を買う。昔なつかしい厚紙の切符。お土産屋さんや日本のスーパーなどによくある汽車の乗り物(写真)などに娘を乗せて時間をつぶす。
WelshpoolとLlanfairを結ぶこのミニ機関車は現在はボランティアによって運営されているらしいが、大切な観光資源となっており、多くのウエルズの機関車同様”機関車トーマスのモデル”としても知られている。見ていると駅の駐車場には大型の観光バスがとまりツアー客が大勢降りてきた。小さな汽車に全員乗れるのだろうか?






やがて駅に小さい黒い機関車が入ってきた。なんという可愛さだろう。この大きさだと、「トーマス」の方がよっぽど立派だ。機関車は駅に入ると、奧の給水所まで入り、蒸気を起こす為の水をタンクから補給する。(右写真)機関車がリフレッシュしている間、お客さんは客車に乗り込む。犬をつれたお客さんも何人かいる。私たちは客車の一番前に乗り込み、機関車が連結されるのを見た。改札のあと、汽車はゆっくりと走りはじめる。






回りの景色はいけどもいけども緑の丘。そして羊と牛、シカもいればキジのような鳥までいる。ときどき見える人家は絵本のような可愛さで、羊たちは木陰に集まってのんびりと座っている。こんな絵本のような風景にまたまた感動。ときどき丘のてっぺんに、我々が泊まっているような家がある。踏切では車にのってやってきていた老夫婦が汽車を待ちかまえていて写真を撮っていた。おじいさんのカメラは今一つ調子が悪いようだった。のんびりと30分ほど走って汽車はLlanfairスランフェアに到着。







帰りの汽車は1時間後に出発するが、回りにはパブとてなく、駅の食堂で昼食を取らざるを得ない。すでにカウンターには列が出来ているが、少し並んでサンドイッチの昼食にありついた。お土産などを見る間もなく、帰りの汽車が出発した。帰りは汽車の連結部のバルコニーのような所に乗って、外の空気を味わいながら帰った。この場所だと行きとは違って線路のすぐ脇にある小川や動物などもよく見えた。


Welshpoolにもどり、市街を少し見学しようかと思ったが、まずはスーパーに入って食べ物などを買うことにする。例によってお菓子やビールなどを買うが、当たり前のスーパーでもイギリスのスーパーはやっぱり楽しい。車に戻ってどうしようか?と言う話になったが、そのまま市街に行くのはやめて、宿の近くのお城Powisを見ようということになった。ところが宿の所までやってくると、一台の車が入り口から引き返してきた。看板を見ると「月曜と火曜は休み」とある。なーんだ、と思って宿の方へ行こうとすると、また別の一台の車がやってきて年輩の男性が降りてきて「君たちは反対方向に行きなさい」と指示されてしまう。「ホテルがこっちなんです」と言うと男性は「をを、そうか」といって去っていった。地元の人が我々外国人観光客が道に迷ったと勘違いしておしえてくれたようだが、またも親切すぎるウエルズ人に出会ってしまった。

お城も見られないので、宿の近くの丘で娘に羊を見せてやろうという事になった。宿の窓からは白い羊の姿がよく見えるのだ。宿の人に羊はどこから見られるか?と聞きに行ったら、家の息子さん(中学生くらい?)が「こっちこっち」、と靴下のまま外に出ておしえてくれた。正面からむかって左のほうに、柵の出入口があり、そこから放牧地に入ることができた。

とにかく広大な丘が連なっている。はるか向こうに羊の姿を見つけた娘は羊の群めがけて走る走る。羊は一瞬何者がやってきたのかとこちらを見つめていたが、すぐにクモの子を散らすように逃げはじめた。娘が勝手に走っても走っても、日本での生活のように親は走って追いかける心配は入らない。車も来ないし、どこまで行っても娘の姿はよく見える。頭に描いていた「ファームハウスで羊をなでなでする」夢は実現しそうもない。羊たちはとにかく見知らぬ生き物の出現で恐怖におののき、逃げる逃げる。娘は疲れを知らない。羊はついに柵の向こうの木の生い茂る斜面のほうまで逃げてしまった。さすがに娘にもおいつかないような場所だ。逃げ遅れた数匹のグループは不安そうにこっちを見ている。これ以上羊に近づくのはやめにしよう。


風景の中の白い点々が羊。

羊を見るや、走り寄ろうとする娘

逃げまどう羊たち。

とうとう木々の向こうまで行ってしまった。

意気揚々と(?)引き上げる娘

宿の犬。一応sheep dogだけど、
仕事はしていなかった。
おとなしくて可愛いボーダーコリー。

つながれていない犬をこわがる娘

草むらにはときどき羊のフンなどもおちていて、靴が泥だらけになってしまった。戻ろうと思って丘を歩いていたら、遠くから見てもなんとなく異様な一角があるのに気が付いた。近づいてみたら、放置された羊の死骸だった。毛皮とアバラ骨が落ちていて、内側はまだ赤く、骨がここそこに散乱している。野犬にでも襲われたのか?のどかな景色の中の現実であった。

その日の夕食もまた前日のパブHorseShoesに行った。お姉さんに昨日のお礼を言い、食事を取ることにした。その日はデザートに"Death By Chocolate"というケーキを食べた。甘い甘いチョコレートケーキ1人前を3人で食べた。なるほどなネーミング。

まだ明るかったし食事も済んだが、夫が前日に飲んだギネスの”エキストラコールド”が美味しくてもう一杯飲みたいというので、私は半分飽きている娘を外のプレイエリアに連れて出た。娘はブランコを独り占めして楽しそう。パブの広い広い庭にはピクニックテーブルが沢山置いてあって、その後ろにプレイエリアが設けてあったのだ。子供はこういう場所にめざとい。プレイエリアからは昨日トラブルのあった駐車場も一望できるのだが、中に一台のバンが止まっていた。中にはお父さんお母さん、じいちゃん、ばあちゃん、大きい子供2人くらいが乗っていて、なぜか車の中で食事をしていた。ダッシュボードにはビターのパイントグラスが置いてあって、まるで食卓のよう。こちらのパブでは飲み物をどこに持って飲んでもとがめられることはない。

30分か40分か遊んで、お世話になったパブのお姉さんにお礼を言って、まだ明るいうちに宿に戻った。

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